いよいよ総裁選、否、総選挙! 9/10、「苦闘」の始まりの日である。ポコポコ、ポコポコ湧いていた泡や小波が消えて澄んで来て、やっと器の中が見えて来た。総裁候補が出揃ったと言うより、小沢対抗馬が出揃ったと言うべきか。麻生氏と与謝野氏には総理の風格が辛うじて垣間見えるが、他の3人はまるで選対委員長か何かの選挙かと錯覚しそうである。それぞれの人が総裁となり総理となった時の日本の姿を想像したとき、麻生氏と与謝野氏以外には日本の姿をイメージすることが出来ない。安倍、福田と「投げ出し」総裁が二代続いた後なので、今度ばかりは「投げ出し」総理だけは勘弁願いたい、というのが国民の偽らざる気持ちだろう。そういう目で候補者を眺めると、麻生氏は、「放り出すくらいなら解散する」タイプに見え合格であるが、他の4人は「自分の行動を自分では決められず、結果的には投げ出しそうな」タイプに映る。そういう意味で、政権政党の総裁を選ぶにしては小粒の観は否めない。自民党にはこの程度の候補しかいないのか?トンデモナイ、出ていないだけである。しかしこれが、自民党の退潮を印象付け、益々、麻生氏のための「仕組まれた総裁選」という印象を強調する。麻生総裁が誕生して茶番劇前座の幕が降りると、本番の総選挙の幕が開く。総選挙は久し振りに国民の声を反映することになる。国民は、半世紀以上の長年に亘って自民政権に生活の安全と安心を委ねて来たが、年金問題、医師や薬剤等の医療問題、食品の安全問題、教育現場の荒廃、…等々、厚労省や農水省等の無策かつ杜撰な官僚行政が明るみに出る度に、一体、自民党政権は何をやって来たのか、という不信感を強く抱いている。にも拘らず、国民の自民党議員を見る目が日に日に冷たく厳しくなっているのを知ってか知らずか、多くの自民党議員の言動や振る舞いは概して横暴かつ専横的なままである。謙虚さを失った自民党に嫌気を催している国民の気持ちを理解していない。これまで、自民党以外には国民が納得して政治を委ねる政党が存在しなかったための諦めにも似た思いを…。参院選挙によって、国民がやっと民主党の存在価値を認め、「今回は民主党に政権を握らせよう」という気持ちになっている。これは、日々の弛まぬ調査によって自民党と官僚の恥部を赤裸々に暴いた地道な活動を国民が認めた結果だろう。民主党が国民に存在価値を認められるにつれ、国民は政権を任される政党を自民党の外にもう一つ必要であると認識し始めたのである。日本国民には江戸時代以来延々と「政はお上」という思想がDNAに刷り込まれて来ている。そのために「昨日のように今日も、そして明日も」という保守的考え方が強い。急激な変化に対しては明確な拒否反応を示し、改革よりも変化の方に共感を抱く。ところが最近の官僚機構と政権政治のボロあるいはホツレが顕われるにつれて、「昨日のように今日も、そして明日も」という風には行きそうもないゾ、という不安感を国民は抱きつつある。この犯人探しをしてみると、信頼して半世紀以上も任せた「お上」である自民党であることに国民が気が付いたのだ。こうして民主党に風が吹き始めた。民主党が支持されているのではなく、自民党の所業に呆れ果てた国民のささやかな抵抗の結果に過ぎないが、日本の政治を良くするためには、民主党を国民から信頼される政党に育て上げなければならない、と考えている人も増えている。
麻生太郎 マンガオタクとしてアキバ(秋葉原)族に人気。「ワンマン」宰相吉田茂を祖父に持ち皇族にも連なる「華麗なる一族」麻生家の総帥であり、麻生派の領袖。本来なら、安倍総理の次の総理であった筈だが、情勢は「一夜にして一転」して福田総理が劇的に誕生、という貧乏くじを引かされた。やや失言癖あり。責任感は強そうで、「投げ出す」より「解散!」タイプだろう。小泉氏と総裁選を争って以来、安倍、福田に敗れ、4度目の挑戦。今回は天敵小泉元総理の影が見えないので圧勝だろう。しかし、「仏の顔も三度まで」という諺があるように、いつまでも「いつもニコニコ、麻生さん」では、総理大臣は務まりませんゾ。
与謝野馨 与謝野鉄幹・晶子を祖父・祖母に持つ文化人。派閥に属さず。概ね良識派であるが、消費者金融のグレーゾーン金利について業者寄りの判断を示したことで、「あの与謝野が!?」と国民から不信感を買った。福田氏から麻生氏への禅譲がバレれば、弱り目に祟り目の自民党にとってはカウンターパンチになる。そのために、総裁選を如何にもそれらしく見せるために担ぎ出された、というのが本当のところだろう。間違って与謝野さんに大量票が入ったら、当のご本人が一番慌てるだろうな。如何にも賢い能吏という感じの人である。
石原伸晃 毎日新聞記者を経て父石原慎太郎の「七光り」を武器に政界へ。「一点の私心無し」をキャッチフレーズに立候補したが、「一点の私心無し」が何を言わんとしているのか、説明不足。次、あるいは次の次に備えての立候補かと思うが、案外、石原派?旗揚げの布石かも知れない。それにしては、推薦人集めに時間が掛かり過ぎたが…。
石破茂 軍事オタク。守屋防衛事務次官の犯罪の裏に久間元防衛大臣、額賀元防衛庁長官、石破元防衛大臣がチラチラと見え隠れし、胡散臭さが消えない。防衛大臣経験者を総理大臣にして良いのかという問題もあるが、いやしくも総理大臣を目指そうというのであれば、逮捕された秋山直紀が掌っていた「日米平和・文化交流協会(日米の軍事・軍需に絡む政官財トップが会員という利権団体?)」との関係を明らかにすることが先だろう。総裁選出馬の第一声を地元(鳥取選挙区)でしたのは総選挙活動を思わせ、マイナスだった。苦戦中の故か?
小池百合子 「渡り鳥」「刺客」と言われている割りには、侠客らしく見えない。初の女性候補という「売り」は「Change自民党」を演出したい自民党にとっては格好の候補者と言えそうだが、残念ながら政治家としての確固たる見識が見えて来ない。郵政選挙では思わぬ神風が吹き兵庫から東京へ舞い降りて成功したが、総裁選出馬第一声を地元(東京10区)でしたのは逆風吹き荒れる総選挙活動に見えた。石破氏同様、苦戦なのだろう。