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放射能汚染マンションと無主物

無主物   昨年暮、福島県二本松市のゴルフ場が東電に対し「ゴルフ場内に飛散した放射性物質の除去」を求めた仮処分申し立て事件で東京地裁が却下する決定を下したことは記憶に新しい。東電の「ゴルフ場に積もった放射性物質は誰のものとも言えない『無主物』である」という主張に対し、地裁は放射性物質が無主物かどうかについては明確にせず(敢えて無主物であることを否定することなく?)、「放射能の除染技術が確立していないことや、除染は自治体などによって進められるのが適切である」ことを理由にゴルフ場側の申し立てを退けた。ところが今度は同じ二本松市の新築マンションのコンクリートから放射線が見つかった。これも「無主物扱い」で逃げようとするのだろうか?そもそも「無主物」とはその名の通り「主の無い物」という意味であって、民法239条には「①所有者の無い動産は所有の意思をもって占有することによってその所有権を取得する。②所有者の無い不動産は国庫に帰属する」と所有者不明の動産あるいは不動産であることが定められているが、文脈から判断すると、「自然のままに自然界に存在している物」であることは明白であろう。二本松の放射性物体が福島原発事故に発していることが明白であるにも拘らず、一次裁判所とは言え、司法が無主物判断を排除したことは法治国家として極めて遺憾であるとしか言いようがない。これまで過去に多くの大企業が公害等の大問題を惹き起こし、十分とは言い難いながらも、それなりの賠償責任を担わされて来たことから考えてみても、今回の原発事故の東電責任判断には疑義が生じる。何故か?は兎も角も、福島原発事故は、「文明」あるいは「豊かさ」という名の下に「後処理」が解決されていない物体を強力に拡大して来た人類の知恵の危うさを示唆しているようにも見える。福島原発事故は、放射性物質だけでなく、今後、生物学上、あるいは医学上生み出されるであろう「無主物」という文明の産物に対しての社会的警鐘と捉える必要もあるだろう。

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