« 教育委員会は必要か? | トップページ | 格差解消のためのGDP戦略 »

意義不明の「日本年金機構」

日本年金機構〖にほんねんきんきこう〗   

  [2008.7.24追記] 国民年金や厚生年金に発覚している様々な問題を積み残したまま、安倍政権時に成立した日本年金機構法によって2010年1月に成立する日本年金機構への移管に向けて賑わしくなって来た。現在の社保庁職員の中から「懲戒」処分を受けた職員の移籍を認めるか否かが話題になっているが、問題の発生を許して来た上級官僚の移籍についてはどう考えているのか?上級官僚で懲戒処分を受けた者は殆どいないだろう。そういう意味では片手落ちである。懲戒解雇処分に相当するような者の移籍を認めないというのは分からないではないが、懲戒処分といってもその内容には雲泥の差があり、一律に懲戒処分を受けた者は全員移籍を認めない(実質的な解雇)というのは如何にも無謀であろう。それはそれとして、もっと重要なことは、「消えた年金」「所属不明の年金」等の様々な重要課題が解決もされぬまま、またその責任問題も明らかにされることもなく、日本年金機構を2010年1月に成立させても良いのか?今問題になっている諸々の問題は切り捨てられることになりはしないか?年金問題が論じられた頃は国民年金・厚生年金に種々の共済年金(議員年金・公務員共済年金・教職員共済年金等)も併合して一本の年金にすることが論じられて来た筈だが、いつの間にか種々の共済年金を併合して一本化する話は途絶えている。一体、どうなったのか?日本年金機構という名称は「全ての年金」を主管しているような錯覚を国民に抱かせるが、実態は国民年金と厚生年金だけしか主管していない。正確には「国厚年金金機構」と称する方が実態を示している。ということは当初から言われていたように、日本年金機構を作る意図は、厚生年金に貧乏くじを引かせ、破綻同様の国民年金を合併させて立ち直らせようという策略ではないのか?日本年金機構法そのものを見直すべきである。

  [2007.6.5記] 自民党から社会保険庁を解体し「日本年金機構」なる民間機関を作ろうという案が出ている。この機構の最も不明な点は「国民の年金を民間機関に預ける」ことの制度的内容が不明である点である。年金保険料の徴収者が国で、国が民間機関に運用と保管を任せるというものであれば、わざわざ日本年金機構なるものを作る必要はない。むしろ「国民基礎年金特定預金」といった特殊預金を創設し、被保険者が利用している金融機関に委託運用させる方が余程信頼性が増すだろう。また、日本年金機構に移行すれば、人件費に加えて被保険者に対する通知費用や問い合わせ相談費用などの莫大な費用を負担しなければならなくなる。現在は一般国税で賄われている人件費や年金保険料の徴収、年金支給事務に掛かる費用を年金保険料に負担させることは年金原資を減らす因となり、将来の年金額保証に不安を惹起する。国民の老後の生活を国と国民が相互で保障する社会保障システムは不測のコストにも対応しなければならず、コストと効率・効果で成り立っている民営には相容れない点があり、やはり国家の機関であることが最良である。そういう観点から、国税庁と社会保険庁を合体する考え方の歳入庁創設案には反対ではないが、民営化組織である日本年金機構なるものを新たに創設する意義は見当たらないように思う。社保庁職員の働き振りと制度の良し悪しを社会保険庁の存亡の要因と勘違いしてはならない。

|

« 教育委員会は必要か? | トップページ | 格差解消のためのGDP戦略 »

な行」カテゴリの記事