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無償の愛と「しょうも無い」愛

無償の愛〖むしょうのあい〗   おふくろさん騒動以来、「無償の愛」という言葉を時々耳にする。ところが、最近は「しょうも無い愛」が蔓延(はびこ)って愛憎事件ばかり起こっている。そもそも、愛が無償であることは、改めて言うまでのことでも無い。「惜しみなく愛は奪う」と言った有島武郎。「己に倹にして人に倹ならず。是を愛と言う」と言った杉浦重剛。「愛は最高の奉仕だ」と言った太宰治。「どれだけ受け取っても十分でないもの、それは愛。どれだけ与えても十分でないもの、それも愛」と言ったヘンリー・ミラー。一方で、「愛美は偽善の端なり」と卓見した福沢諭吉。愛とは心掛けである。「管子」に「愛者憎之始也、徳者怨之本也、賢者不然(愛は憎しみの始め、徳は怨(うら)みの本なり。ただ、賢者は然(しか)らず)」という言葉があり、凡人の欲を戒めている。愛に何かを期待するのは真の愛ではない。このような思い違いはよくあることで、その心得違いが不善の基因(もと)となる。徳また然り。

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